老犬に学ぶ

 次女が高校を卒業する頃、友達から柴雑犬を飼ってもらえないかとたのまれ、当人も志望大学が遠いこともあって私達が2人暮らしで寂しくならないかと心配し、連れ合いに相談したのがきっかけで、7月生まれの子犬を9月にもらい受け、飼い始めてすでに17年目になる。貰い受けたときはまだ2ヶ月で小さく、兄弟2頭で美術館の広場へやってきた。我が家は小さい方を選んだと記憶する。
 次女は9ヵ月後に東京で下宿生活をはじめ、文字通り2人と1匹の生活が始まった。余りにも小さかったため、車に乗せて帰るときには涙を見せるなど私どもを感激させることどもに、外で飼うことは出来ず、当面室内で飼うこととした。柴(茶毛)は体臭が強いから室内では?と、友達から助言を受けたが無視した。
 小さい頃はいたずらで、東京へ行っている間に植木鉢をヒックリ返したり、ケーキを一人で平らげたり・・・近くに居る長女に見てもらっていたが後始末が大変だったらしい。
 家の中では余り動けないので小さい頃はそうでもなかったが、「散歩は出きるだけ遠くに」を原則に当初は夕方だけだったがその後は朝夕2回が日課になった。
 腕白だった雑犬も15年を越える頃から後足が衰え、階段を踏み外したり前のめりで転んだり
・・・それでも16年目の前半まではまだ私の前を歩き、時には走ったりもしていたが、後半からは歩くことも負担らしく後からしぶしぶついてくるのがヤットになった。獣医さんによると16年目を人の年代で云うと93歳と私より遥かに高齢に達して(4年前に逆転)居るそうで、それ以来犬の行動を観察しながら、いずれは私のたどる道と心得、老犬先生に学ぶこと多大である。
 とりわけ、困ったのが下の方で、つい先だってまでは1日1〜2回で我慢していた小用の回数が1〜2時間おきになり特に午後から夜にかけて回数が多くなったことである。お陰様で2人で出かけることが叶わなくなった。
 一人は必ず家に居て「老・老介護」の毎日である。