歯科難民(3)

 1月の最終土曜日、正月に故あって来なかった孫の顔を見たいと静岡へ。連れ合いを連れ出すと後で腰が痛いやら何やらと煩いので、畑で取れた野菜と正月に準備した絵本を携えて一人新幹線の乗客とあいなった。昼前はピアノ教室へ行っているので、午前中の過ごし方を色々想定したが・・・他人に迷惑を掛けてもいけないし。静岡の旧友にはまた改めて会う機会を探すこととし指定の「こだま」を利用した。途上携帯を忘れたことに気が付いたが・・・何とかなるだろう。
 11時50分着改札をでて北口方面に眼をやり数歩歩きかけたら孫の顔が、去年の夏以来か?
 「パパがまだ着いていないけど、上がるかね?」食堂街は上層階にあり、そこに向けて先に行って居よう。と・・・そうこうしている内にパパが到着。孫のリクエストに答えてオムライス店へ。そのまま従っていればいいものをカツカレーをリクエストしたのが失敗だった。
 その日はマンションに行き、迷路やら絵本で遊びモテモテだった。夕方雪だと一方がありゆっくりするつもりがはずれ、早めに帰ることにした。その時孫が思い出したように昔買ってやった木のオモチャを取り出し「これであそぼ!」ときた。何か作らないと帰れそうにない。しばし考える。「そうだ、設計図の一つを作ってみよう。」 必要なパーツを揃え作り始めた。横から何やかやと話しかけてくるのを適当にはぐらかしながら。・・・暫くして完成!。「お!凄いじゃん。今まで形の出来たことがなかったね! やっと出来たじゃん。」娘も静岡弁に染まったか?そういえば私は10年、彼女はそれ以上長く住んでいる。
 話はこれからだ。昼飯を食べて以来何か口の中がおかしい。でも6時だいの新幹線にのり駅弁は難なく食べられたので安堵した。家路の雪も大したことは無かったし。
 ところがである。あくる日何か口の中で音がしたな? と思った矢先なけなしの上歯1本が折れていた。12月まで通って直したはずの歯がである。・・・・
 何のための治療だったんだ!・・・と憤ると同時に、「何処に行こうか?」
 ヤッパリ戻ろう。そう考えるまでにそう時間は掛からなかった。・・・何か云われたら「実験台にされちゃってね。」とでも云っておこう。ウーン、台がしっかりしているから差し歯にしましょう。その日のうちに台と仮歯が、1週後には本歯が入った。もし、続けて行っていたら・・
・前の歯は完全に失われていたであろう。その後どうも歯の噛み合わせが良くないので・・・と相談し矯正してもらってやっと落ち着いた。暫くはこれで行けるかな。とんだ難民に成ってしまうところだった。